ゴシック映画について

         ゴシックについての定義は人それぞれあるだろう

         僕のゴシックは、世界が終わった後の退廃美にある。

 

 

キャンディマン

僕が小さい頃キャンディーマンを観た。

意味はあまり理解できてなかったが、

ダークで、不思議で、怖くて、憂鬱で、退廃的で美しい世界だった。

蜂の群れが、空を飛びかい、キャンディマンの重厚なナレーションが

ずっと忘れられなかった。

そして、何十年ぶりに、キャンディマンを観た。

小さい頃ほどの、強烈なイメージはないが、それでも、

キャンディマンは、憂鬱で、退廃的で美しい世界だと、確信できた。

ヘルレイザーと、どことなく似ていると思ったら、原作が同じ

クライヴ・バーカーだった。

キャンディーマンは都市伝説のなかで生きる人物だが、

現実の世界でも、都市伝説や、人々に記憶される出来事、人物などは

集団無意識や、記憶の物質として、なんらかの存在として、生き続けることが

できると思う。

この作品は、いつの日かまた観たいと思う。 

 

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

ゴシック映画を語る上で、この映画は外せないだろう。

1994年製作のアメリカ映画。

一人の記者がルイの人生についてインタビューを開始し、話が200年ほどさかのぼる。

舞台が、18世紀末のアメリカとヨーロッパ。

ゴシック好きな僕にとって、その頃の貴族達の衣装や、雰囲気はたまらなく萌えだ。

ヴァンパイアのレスタト役をトムクルーズがやるのだが、もの凄く格好いい。

この映画はレスタトを、トムクルーズ演じてこそのものだと思う。

レスタトはルイ(ブラットピット)を、共に生きる伴侶として、ヴァンパイアにしてしまう。レスタトは血を吸うためなら、ためらわずに、人間を殺してしまえるのだが、

人間的で繊細なルイは、良心の呵責に苛まれ続ける。

そんな彼をみて、レスタトは苛立つ。

僕が思うに、レスタトがルイと一緒にいつづけるのは、レスタト自身が人間らしい心を持っており、それを、ルイの中に投影しているからだと思う。

この映画でのラストが、この映画をより名作にしている。

物語が現代に戻って、記者が録音したルイのインタビューを、車で流していたのだが、

それを聞いていたレスタトは「ルイの奴め、いまだにぼやいている」と言い、

さっそうとスーパーカーを走れせて終わる。

ジメジメとしたルイとは対象的で、サバサバとしたレスタトのセリフが、

この映画を後味のいいものにしている。

18世紀のレスタトもいいが、現代に解き放たれたレスタトもまた、ワクワクするものだ。

日本のゴシックにも、影響を与えた作品だと思う。

 

バットマン・リターンズ

ゴシックには、サーカス、畸形、見せ物小屋などが似合う。

この作品は、ティムバートンのおもちゃ箱を、ひっくり返したような作品だ。

畸形の怪物ペンギンのキャラ、姿。アヒルの乗り物。サーカスギャング団。

ミサイルを背負ったペンギン達が、

世紀末的なダークでモダンな美しい雰囲気を出している。

ただ、秘書のミッシェルが猫の魔力で、キャットウーマンとして甦るのだが、だぜ悪人になってしまうのか?がよくわからなかった。

もともと悪人気質だったのかもしれない。悪人に理由などないのかも。

もしくは、ストーリーより、雰囲気に重点を置いているようにも思える。

バットマン自身が認めてるように、バットマンは、怪物ペンギン、キャットウーマンと

同じ、かわいそうな存在だとわかった。

 

パンズ・ラビリンス

この映画の始まりから流れる、

せつなく、美しいメロディが、いつまでも耳に残る。

舞台は1994年のスペイン 内戦終結後も山では武装した人々が

新たな独裁主義政権と戦い続けていた。

この映画がすごいと思ったのは、

戦争下の厳しい現実で生きる少女と、メルヘンが融合しているところだ。

登場する妖精たちの姿が、ちょっとグロテスクなところも、

 逆にリアリティを感じた。

少女は、ヤギの頭と身体をしたパン<牧神>に出会い

「あなたは、長い間捜し続けていた魔法の王国のプリンセスに違いない。

それを確かめるためには、3つの試練を克服しなければ」と言う。

この映画を観ながら思ったのは、パンは悪い妖精なのではないか?

このメルヘンが実は、ただの、少女の妄想だというセッテイで終わったら、

残念だなと思っていたのだが、

ラストは切なく、感動的に終わる。

 

エレファントマン

この作品は、観る人にいろいろと考えさせられる作品だ。

僕の中にも見世物小屋を覗きたいと言う感情があるし、

そういうものに興味のある人も沢山いるだろう。

この映画は、生まれつき奇形で醜悪な外見により「エレファント・マン」として

見世物小屋に立たされていた青年、ジョン・メリックの半生を描いた、

実話をもとに作られた作品だ。

最初は何もしゃべらなかったジョン・メリックが、フレデリックに、

心を開いて、しゃべりだす所は感動的だった。それどころか、むしろ多弁で、

知的で芸術的だった。

バイツといた頃は、鞭で打たれ、見世物の商品としてしか扱われなかった。

やはり、魅力的な人は、それを引き出してくれる人といるべきだと思った。

もし、今の日本で、ジョン・メリックが、芸人として生きようと思えば、

とてもおいしい存在になれたのではないかと思う。

この映画を、デヴィット・リンチ監督の悪趣味的なものとして

とらえる人もいると思うが、いろいろと問題を投げかけているのは確かだ。